真皮のエラスチンと化粧品成分のエラスチン。その効果に違いは?

肌のハリや弾力を保つのに重要な役割を果たしている表皮のエラスチン。最近になって急速に研究が進み、そのエイジングケア効果が分かってきました。また、エラスチンを配合した化粧品も増えてきました。では、表皮のエラスチンと化粧品成分のエラスチンは同じ効果があるのでしょうか?そこで、今回は、それぞれのエラスチンの効果についてご紹介します。

真皮のエラスチンの効果

エラスチンは線維状のたんぱく質で、体内では主にコラーゲン同士を結びつけて網目状に構成するはたらきがあります。そして、コラーゲンとともに肌のハリツヤをもたらす効果があります。

肌の弾力を保つのに重要な役割を果たしているのが、真皮ですが、真皮の約70%はコラーゲンが占めています。一方、エラスチンは真皮の2%~数%程度で、コラーゲンほど強靭な強さがあるのではなく、弾性・弾力に富んだ性質を持っています。

エラスチンは真皮のなかの線維芽細胞でつくられますが、真皮でコラーゲンをつなぎ止めるようにして支えることで、はじめてコラーゲンの効果が発揮されるのです。つまり、エラスチンは弾力に富んでいて伸縮する性質を持ちながら、コラーゲンを束ねることでその効果を発揮しているのです。

そのため、エラスチンの束は「弾性線維」あるいは「弾力線維」とも呼ばれています。

エラスチンは、成長期前の若い時期につくられることが多く、20代後半から徐々に減少し、40代頃から急激に減少するといわれています。また、エラスチンは加齢や紫外線などで劣化すると、伸縮性が鈍くなって復元できない分が残ってしまい、本来の効果を発揮できなくなっていきます。

真皮において、エラスチンの修復力は20歳後半から低下しはじめ、歳を重ねるほど収縮力は失われていきます。これが、たるみの原因となるので、たるみはエラスチンの減少や修復力と深い関係にあるのです。

このように、肌を若々しく保つポイントは、エラスチンが正常な状態にあり、真皮の収縮活動が活発に行われることが大切といえます。

化粧品成分のエラスチンの効果

エラスチンはもともと不溶性なので、豚や鶏、魚のエラスチンを加水分解して、可溶性の化粧品成分として製造します。化粧品の全成分表示では、「加水分解エラスチン」と表記されます。

化粧品成分としてのエラスチンは、表皮で保湿成分としてはたらき、水分を抱え込んで保持することで、肌の潤いを維持するのを助けます。だから、化粧品成分としてエラスチンを使う目的は、保湿です。

その保湿力は、セラミドよりは低いものの、グリセリンよりは高く、湿度がある程度まで低くなっても保湿効果を発揮するのが特徴です。そして、コラーゲンとは少し異なったアミノ酸組成を有します。そのため、コラーゲン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンなど、エラスチンと異なるエイジングケア化粧品成分や保湿成分を配合したエラスチン化粧品を選ぶことがポイントです。

また、エラスチンは、水溶性成分なので、化粧水や美容液、ジェルタイプのオールインワン化粧品から選ぶことがおすすめです。

エラスチンの効果は保湿なので、乾燥肌対策や、乾燥肌の原因であるバリア機能の低下やターンオーバーの乱れのケアなどに使えます。エラスチン化粧品が効果的な肌悩みとしては、乾燥で目立つ小じわ、ほうれい線、毛穴の開き、乾燥やターンオーバーの乱れによるくすみなどです。

また、エラスチンには美白効果はありませんが、保湿によってターンオーバーを改善するので、ターンオーバーの遅れによるシミ対策にも使えます。
さらに、安全性が高く刺激が少ないことから、どんな肌質でも使えます。

まとめ

真皮のエラスチンと化粧品成分のエラスチンは同じはたらきをするわけではありません。だから、真皮のエラスチンを維持する生活を心がけ、保湿を目的としてエラスチン化粧品を上手に取り入れて、エイジングケアを行いましょう。